時間数に応じた授業計画のヒント
生徒・学生の主体性を尊重する、対話を取り入れた学びを深める探究型学習のポイントを紹介します。
探究型学習とは?
探究型学習はアクティブ・ラーニングとも言われ、「学生の自らの思考を促す能動的な学習」と定義されています。つまり、探究型学習とは、従来の教員や教科書中心アプローチとは違い、生徒が自ら学び自ら考える力を育てる学習方法と言えます。この変化の時代、学生には受け身ではなく、主体性を育む教育の重要性が注目されるようになりました。
また、PBL(Project Based Learning)は、文部科学省が推進する探求型学習のひとつです。「問題解決型学習」などと訳され、生徒が自ら問題を見つけ、それを自分で解決する能力を身に付ける学習方法のことを指します。
この探究型学習は4つのステップがあり、これらの過程を通して、主体的に社会が持つ課題に関心を持ち、自分なりに行動する力を育むことを目標としています。
- 課題の設定…体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
- 情報の収集…必要な情報を取り出したり収集したりする
- 整理・分析…収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
- まとめ・表現…気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する
探求型学習のメリットは、生徒の主体性を養える、対話やディスカッションを通して学びをアウトプットする機会があるので知識が定着しやすいなどがあります。
主体的・対話的で深い学びの実現
探究型学習は2022年から全国の高校に「総合的な探究の時間」として導入されます。2018年に文部科学省から発行された高等学校学習指導要領によると、探究型学習は以下の3つの学びを通して更に深められるとされています。
- 主体的な学び:他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める
- 対話的な学び:生徒・教員・地域の人との対話を通じて、自己の考えを広げ深める学習のこと
- 深い学び:自ら問題を見つけ、課題の追究・解決・探究を行う学習のこと
ライフデザインオンラインが提供する探究型学習
ライフデザインオンラインでは、包括的性教育の国際ガイドラインや人権教育の要素、学習者中心アプローチを重要視しており、高校生向けの探究型学習としても取り入れやすくなっています。私たちが提供するプログラムの一つである「性別って何だろう?」を例に、どのように探求型学習として発展させることができるか、以下にまとめました。
①課題の設定
この授業では性別は男性と女性の二分化が前提の社会で、「性別」とは何なのかを問いとして設定しています。誰一人取り残さない」を理念とするSDGs(持続可能な開発目標)を多様な視点から探究し、特にダイバーシティやジェンダー平等についての理解を深め、主体的に実践する方法を考えることができる課題設定となっています。
②情報の収集
講義では多様な性のあり方の用語・概念(性/ジェンダー/SOGIEなど)を取り上げ、多様な性(性的指向、性自認、ジェンダー)と生きる人たちをサポートする方法を学びます。差性のあり方について差別的で傷つける言動と尊重する方法について、多様な性のあり方を若者の体験談を通して学んでいきます。
③整理・分析
付属のワークシートを使って得た知識のアウトプットや自分の意見の書き出し、整理などもできます。ディスカッションを通して発見した新たな価値観や考え方を書き出すことで、一度きりの授業ではなく、後に振り返りが可能です。
④まとめ・表現
グループワークやディスカッションを通して、性別に関する無意識の決めつけやステレオタイプを生徒同士で対話し、その決めつけがどこから来るのか、どう対応するかを実践的に学べる構成になっています。
まとめ
ライフデザインオンラインでは生徒に気付きを促す、学習者中心で探究型の授業構成を大切にしています。このコラムでは「性別ってなんだろう?」を例に紹介しました。他にも「性的同意・健康的な人間関係」「ライフプラン」などこれから生徒が生きていく上でとても重要なテーマを扱っています。ぜひ、探求型学習の実践としてもご活用ください。
【参考文献】
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